産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処分方法・基礎知識・処分の流れ解説
事業を展開する企業にとって、産業廃棄物処理に関わる正しい知識を身に付ける事は重要な取り組みです。
産業廃棄物の取り扱いについては処理業者だけでなく、ごみを排出する企業側にも責任が発生します。
ごみの出し方や処理業者選びに失敗しないためにも、今回は産業廃棄物がどのように処理されているのかという点を中心に掘り下げてみましょう。
産業廃棄物の処理方法は法律に基づいて様々な規則を遵守する必要があるため、まずは法的な基礎知識を身に付けておく事が重要であると言えるでしょう。産業廃棄物の取り扱い方は全五章から成る「廃棄物処理法」という法律で定められています。
しかし大量のごみ処理による公害問題が表面化した事から、当時の「清掃法」を全面的に改正して廃棄物処理法が制定されました。廃棄物処理法は廃棄物の排出抑制・処理の適正化によって生活環境の保全および公衆衛生の向上を図る事を目的としています。廃棄物処理法は時代の流れに即して適宜改正が施されているという点にも注意しておきましょう。
廃棄物の取り扱いは専門業者に業務委託する事が可能ですが、委託先は各自治体から認可を受けている業者である必要があるので注意してください。また、廃棄物の運搬・処理をそれぞれ異なる業者に委託する必要があります。これは産業廃棄物の運搬と処理では必要となる資格が異なるためです。
産業廃棄物の排出者が運搬・処理を外部に委託するにあたっては、厳密な委託基準が設けられています。自社で廃棄物を保管しておく必要がある場合には、別途定められている保管基準を満たさなければならないので覚えておきましょう。排出者はこうした基準をクリアした上で運搬および処理業者と事前に契約を結び、産業廃棄物の引き渡しが可能になるのです。
排出者は廃棄物の引き渡し時に委託先業者との間で産業廃棄物管理票(マニフェスト)と交付し、お互いが5年間保存する事が義務付けられています。このマニフェストは廃棄物処理の流れを明確にするために設けられた制度であり、万が一不法投棄などが発生した場合は重要な手がかりとして運用されるものです。
産業廃棄物の処理を業者に委託するにあたって、実際にどのようなプロセスが踏まれているのか気になるという人も多いでしょう。産業廃棄物の処理プロセスは大きく分けて「分別・保管」「収集・運搬(積替)」「中間処理」「再生処理・最終処分」の4ステップです。以下ではそれぞれの工程について詳しく見ていきます。
一般・産業を問わず他者から廃棄物運搬の委託を受けるにあたっては、各都道府県からの認可が必要になります。都道府県をまたぐような収集ルートになる場合には、それぞれの自治体で認可を受けている必要があるので留意しておきましょう。
種別ごとに選別された廃棄物は必要に応じて焼却や圧縮が施され、最終処理場行きのトラックに積み込まれます。運び込まれた廃棄物の量によっては中間処理施設で一時的に保管するケースも少なくありません。
埋め立て方法は地方公共団体がメインで管理している海面埋め立て、主に民間団体が管理している内陸埋め立てに二分されます。SDGsをはじめとする地球環境保護の観点から、近年ではリサイクルの積極的活用が主流です。
日本では高度経済成長期を経て様々な公害問題が表面化しました。地球温暖化や埋め立て地建設の限界など、地球環境に対する世間的な関心も年々高まって来ています。もしも廃棄物の管理・処理が正しく行われない状態が続けば、生態系への悪影響や環境破壊に繋がっていく事でしょう。
産業廃棄物の適正な処理は排出者や運搬処理業者だけの問題ではなく、すべての生物の安全な生活に関わる重要な取り組みなのです。厳正な管理・処理体制を保ち続けるためには、廃棄物の排出者と運搬処理業者がそれぞれ責任を負って相互に監視し合う事が重要になります。
産業廃棄物は年々デリケートな扱いや厳正な管理が求められるようになっているため、排出者としても正しい知識を持っておく事が重要です。
廃棄物処理法をはじめとする法律的な根拠や保管基準・委託基準などをしっかりと把握し、安心安全な運用を心がけていきましょう。運搬処理を外部に委託する場合には、正しい処理工程や処理施設を持っている自治体認可済みの業者を選ぶようにしてください。
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