事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
木くずは産業廃棄物の分類の際には、「排出する業種が限定されるもの」に分類されます。今回は木くずとはどのようなものなのか、どのようなときに産業廃棄物となるのかを説明していきます。
木くずとは、材木などを削ったり、切断したりした際に発生するごみのことで、建設業や木材製造業など特定の業種で事業活動によって排出された場合またはPCB(ポリ塩化ビフェニル※)が染み込んでいる場合は産業廃棄物として扱われます。
化学的に合成された有機塩素化合物のことで、化学的に安定している、燃えにくく絶縁性が高いという特徴があるため、熱交換器の熱媒体、電気機器の絶縁油、感圧複写紙などに幅広く利用されていました。
しかし、PCBは簡単に分解できず、発がん性があるなど、人体および生活環境に悪影響を及ぼすおそれがあることから、昭和47年(1972年)には製造が禁止されています。
木くずが産業廃棄物となるのは、特定の業種から排出された場合であると説明しましたが、具体的にはどのような業種なのか説明していきます。
清掃に関する法律施行令第2条2号では次のように定められています。
「木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)」
これによると、木くずが産業廃棄物として扱われる業種は、建設業、木材製造業、木製品の製造業(家具製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業となります。中でも建設業の場合には、工作物の新築、改築または除去により生じたものであるというように具体的な指定もあります。
また、業種を問わず、貨物の流通のために使用したパレットやパレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材、ポリ塩化ビフェニルが染み込んだものも産業廃棄物として扱われることになります。
産業廃棄物として扱われる木くずについては、建設業関係の建物や橋、電柱、小屋などから排出された廃木材、製品製造業関係の会社で発生するおがくず、パーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップ、工事箇所から発生する伐採材や伐根なども含まれます。また、道路や公園などの施設の手入れを担当する造園工事業で生じた剪定枝(せんていし)も、産業廃棄物として分類されます。
家具製品、梱包用の木材や流木、枕木の木くず、森林の密林化を防ぐために切った間伐材、伐採木、園芸サービス業で生じた剪定枝は一般廃棄物として分類されます。この時、園芸工事業者が川の整備を実施した際に発生した流木であっても、一般廃棄物となりますので、流木の扱いには、注意が必要です。
剪定枝については産業廃棄物、一般廃棄物どちらにもなりえますので、注意が必要です。例えば、木の枝自体は木くずとして扱われせんので、通常は事業系一般廃棄物となります。しかし、建物の建設工事や解体工事の際に伐採が必要となって排出された木の枝は、「建設工事の際に出たもの」となるため、産業廃棄物として扱うことになります。
このように考えると、施設などの手入れの一環として木の枝の伐採が必要となり、排出された木の枝は産業廃棄物扱いとなり、園芸サービス業が伐採した木の枝は事業系一般廃棄物となります。
木くずの処理方法としては、再資源化することが一般的です。再資源化の方法としては、チップ化、燃料化、たい肥化があります。
チップ化とは、木くずを細かく砕く方法で、最も浸透しているリサイクル方法の一つです。チップ化した木くずは、紙の材料や断熱性・吸音性のあるファイバーボードと呼ばれる建材に活用されます。
また、腐食しにくいヒノキチップはガーデニングの敷料、クルミやブナ、モミ、マツなどの複数の木くずは合わせて燻製剤、消臭・分解効果の強いスギチップはコンポストとしても使えます。さらに、木くずのチップはバイオマス燃料としても注目されています。
燃料化とは、建物の解体後に生じる建築廃材やパームヤシ殻など、燃えやすい木くずをRPF燃料(マテリアルリサイクルや分解が難しい廃棄物を主原料とした燃料)と呼ばれる固形燃料として活用する方法です。重油に比べて二酸化炭素発生量が少なく、低コストの環境に優しい燃料として期待されています。
また、セメントを製造する際の原燃料や、ボイラー施設のバイオマス燃料などとして使われることもあります。
たい肥化とは、木くずをたい肥として再利用する方法です。具体的には、木くずを破砕し、生ゴミや家畜糞尿などの有機系廃棄物を堆肥化する時に水分調整剤として用います。また、樹皮に家畜糞尿や食品廃棄物を混ぜて、堆積・発酵させたバーク堆肥などもあります。
再資源化できない木くずは、管理型最終処分場※に搬入して、埋立処理する場合もあります。
埋め立て後の廃棄物が雨水などを通して周辺環境に悪影響を与えないよう対策が施され、厳密に管理された処分施設
再資源化できない木くずは、焼却処理されることもあります。木くずを焼却する時に発生する熱をエネルギーとして回収し利用する(サーマルリサイクル)タイプの焼却施設もあります。
今回は、産業廃棄物としての木くずについて紹介してきました。木くずに関しては、排出された状況次第で事業系一般廃棄物にも産業廃棄物にもなりますので、処理する際には分別に注意が必要になります。自身で判断のつかない場合には、業者や管轄の役所等に問い合わせて確認したほうがいいでしょう。
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