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【産業廃棄物】紙くずとは?廃棄方法と適切な処理方法|紙くずリサイクルに企業が取り組むメリットもご紹介します

2024/04/19

産業廃棄物の紙くず

オフィスや飲食店などで普通に排出される紙くずですが、特定の条件下で排出された場合には、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物として扱われるため、注意が必要です。今回は、産業廃棄物の紙くずについて説明していきます。

紙くずとは?

紙くずとは、その名の通り紙ごみのことですが、建設業やパルプ製造業など特定の業種で排出された場合あるいはPCB(ポリ塩化ビフェニル※)が染み込んでいる場合は産業廃棄物として扱われます。逆に言えば、前述以外の業種で排出された紙ごみやPCBが染み込んでいない紙ごみは事業系一般廃棄物として扱われます。

PCBが染み込んでいる紙ごみについては注意が必要です。PCBが染み込んだ紙くずについては、業種を問わず産業廃棄物として扱われ、さらに特定有害物質を含んでいるとして、特別管理産業廃棄物に分類されます。

※PCB(ポリ塩化ビフェニル)

化学的に安定している、絶縁性が高い、燃えにくいという特徴があるため、電気機器の絶縁油、感圧複写紙や熱交換器の熱媒体などに幅広く利用されていました。しかし、PCBの含まれた廃棄物は簡単には分解できず、発がん性があるなど、人の健康および生活環境に被害を生ずるおそれから、昭和47年には製造が禁止されています。

特定の業種の紙くずの処分方法

特定の業種の紙くずの処分方法

紙くずについて、清掃に関する法律施行令第2条1号では次のように定められています。

紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)」

これより、排出された紙ごみが産業廃棄物として扱われる特定の業種は、建設業、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業となります。さらに、業種によっては以下のような場合に限定されます。

・建設業の場合:工作物の新築、改築または除去により生じたもの

・新聞業の場合:新聞巻取紙(ロール状に巻き取られた新聞向けに使用される用紙)を使用して印刷発行を行うもの

・出版業:印刷出版を行うもの

よって、建設業から排出される紙ごみでも、工作物に関係ないオフィスから出たコピー用紙などは、一般廃棄物として扱われます。

紙くずの具体例

代表的な紙ごみとしては、印刷くず、製本くず(製本の途中で排出された紙くず)、裁断くず、建材の包装紙、板紙、建設現場から出た紙くずがあります。

紙くずの処理方法

紙くずの処理方法

再資源化(リサイクル)

紙くずの一般的な処理方法です。具体的には、古紙などはそのまま製紙原料としてリサイクルされ、製紙原料にならないものは固形燃料にされるなど、紙くずは産業廃棄物の中でも再資源化しやすいものの一つです。

製紙原料としてのリサイクル方法としては、まず、古紙を水や苛性ソーダなどと一緒にかき混ぜ、繊維状にほぐします。次に、古紙に含まれる異物やインクを除去し、過酸化水素水で古紙を漂白します。これによって古紙パルプと呼ばれる繊維が得られ、再び製紙用の原料として使用できるようになります。

固形燃料へのリサイクル方法としては、廃プラスチックなどとともに破砕処理したあと、磁力選別にかけ異物を取り除いた後で、成型・冷却することで固形燃料が出来上がります。

焼却処理

建設工事で出た壁紙や汚れがひどい紙くずなどは、再資源化することが難しいため、焼却処理されます。紙くずの状態によっては、焼却処理を行う前に粉砕や切断が必要になる場合もあります。

埋め立て処理

紙くずは、再資源化できない場合には焼却処理をせず、そのまま最終処分場で埋め立てられることもあります。この場合でも、紙くずの状態によっては焼却処理の時と同じように粉砕や切断が行われることがあります。

機密情報が記載されている紙ごみの処理方法

個人情報や企業秘密などの機密情報が記載されている紙の取り扱いに関しては、注意が必要です。機密事項が記載されている書類などは情報漏洩のリスクがあるため、シュレッダー処理して処分するか溶解処理(専用の溶解設備に投入し、鋭い刃で粉砕しながら液状化する方法)てもらえる業者に処分を依頼するかどちらかの方法をとる必要があります。

シュレッダー処理する場合には、基本的に自社で処分することになりますので、気にする必要はあまりありませんが、溶解処理を依頼する場合には、処理を依頼する業者のセキュリティレベルが重要になります。

専ら物としての紙ごみ

専ら物とは、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」のことで、古紙(紙くず)は専ら物に含まれます。ただし、PCBが含まれている場合には、特別管理産業廃棄物として扱わなければならないことに変わりはありません。

専ら物として古紙を扱う場合には、必ずマテリアルリサイクル(再資源化)しなければならないとされていますので、再資源化できる紙ごみのみが対象となります。よって、焼却処理・埋立処理しなければならない建設工事で出た壁紙や汚れがひどい紙くずについては、産業廃棄物として扱うことになりますので、注意してください。

まとめ

産業廃棄物としての紙ごみ

今回は、産業廃棄物としての紙ごみについて説明しました。紙ごみについては、特定の業種から排出されるものであるかあるいはPCBが含まれるか塗布されているものに限定されるため、産業廃棄物の分類の際には、「排出する業種が限定されるもの」などに分類されるものになります。

特定の業種の場合のみ処理方法に気を付けることになりますので、あまり気にすることもないかもしれませんが、知識としてきちんと理解しておきましょう。

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