廃酸とは？種類と処理方法、廃酸に含まれる有害物質とリサイクルによる再利用方法を解説します

2024/04/19

廃酸の種類と処理方法

「産業廃棄物の廃酸の種類を詳しく知りたい

「廃酸のリサイクル方法はなにがあるのかな？」

このように、産業廃棄物に該当する廃酸について詳しく知りたいと考えている方は、多いのではないでしょうか。この記事では、廃酸の基準や種類、処理方法、リサイクル方法、処理費用についてを詳しく解説していきます。

産業廃棄物中でもリサイクル率が著しく低いのが廃酸です。また、廃酸の中に危険性を伴う物質が含まれている場合は、取り扱いに注意する必要があります。廃酸の基礎知識や処理方法を適切に理解して、できるだけリサイクル率の向上に貢献できるようにこの記事をチェックしてみてください。

廃酸とは

廃酸は産業廃棄物の一つに該当するため、適切な処理を施さなければなりません。では、どんな廃棄物が廃酸となるのかの廃酸の基準や種類などを詳しくみていきましょう。

廃酸の基準

廃酸はかんたんにいうと酸性廃液のことで、廃硫酸や廃塩酸などが該当します。一般的に水素イオン濃度（ph）の数値が7より低ければ酸性となり、7より高い場合はアルカリ性になります。廃酸と似ている産業廃棄物に廃アルカリがありますが、別物のため混同しないように注意が必要です。

廃酸の種類

食品や日用品などを開発する化学工業や工場では酸性の物質が反応に用いられ、鉄鋼や電気機械工業などでは硫酸や塩酸などの物質が頻繁に使用されています。その他にも、タバコの製造やガラス窯業などの業種でも廃酸は多く排出されているのが現状です。排出される廃酸の主な例は以下になります。

無機廃酸（硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、スルファミン酸、ホウ酸等）

有機廃酸（ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸等）

アルコール発酵廃液

アミノ酸発酵廃液

エッチング廃液

染色廃液（漂白浸せき工程、染色工程）　

クロメート廃液

写真漂白廃液

気をつけなければならない廃酸

廃酸の中には特別管理産業廃棄物に該当する危険な廃棄物があります。特別管理産業廃棄物に該当する場合は、取り扱い方法や処理方法が異なるため注意が必要です。廃酸の中で特別管理産業廃棄物に該当するものは以下です。

・著しい腐食性のあるph2.0以下のもの

・重金属や有機塩素化合物などを一定濃度条件以上含むもの

処理を専門の業者に委託する場合も、特別管理産業廃棄物処理の資格を得ているかを必ず確認する必要があります。

廃酸の処理方法

令和2年の排出量データによると廃酸の排出量は2,971tとなっており、産業廃棄物全体の0.8%になります。排出量が多いわけではありません。また、廃酸は最終処分量が少ないのも特徴です。廃酸のほとんどが減量化されます。廃酸の処理方法は大きく分けて主に以下の3つです。

①焼却

②中和処理

③再資源化

それぞれどのような処理がおこなわれるのかを詳しくみていきましょう。

①焼却

廃酸の処理方法として一番多いのが焼却です。しかし、廃酸は液状のものが多く、液状のままだと焼却処分ができません。焼却処分をおこなう際は、廃酸を霧状にして噴霧する方法で焼却炉に投入し処分します。焼却された廃酸は熱分解されます。

②中和処理

廃酸にアルカリを利用して中和させ、中性廃液に近い物質にしてから処分する方法が中和処理です。廃液の種類によって中和の手段は変わります。中和処理後は焼却処理または排水処理を施し、その際に発生した無機物などは汚泥として処分されるのが一般的です。しかし、中和処理は処理中に有害ガスが発生する可能性があるため、特殊な施設のみでおこなわれます。