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廃アルカリとは?種類と特徴を解説!リサイクル方法と処理費用の削減策について

2023/05/26

廃アルカリとは

廃アルカリとは、廃棄物処理法第2条第4項1号で定められている産業廃棄物の一種で、廃ソーダ液や金属せっけん液などアルカリ性の廃液の総称です。pH(水素イオン濃度)の数値が7よりも高いものがアルカリ性であるため、pHが7より高い溶液はすべて廃アルカリになる可能性があります。

またphが12.5以上の廃アルカリは著しい腐食性があるため、特別管理産業廃棄物に分類され、重金属等やPCB、有機塩素化合物等、農薬等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度以上含む場合には特定有害産業廃棄物に分類されます。

特別管理産業廃棄物や特定有害産業廃棄物に分類されたものは、取り扱いや処理の方法が通常の産業廃棄物とは異なるため、特に注意が必要になります。ちなみに、pH7がであれば中性、pH7より低いものが酸性と区別されます。

廃アルカリの排出量は、平成30年度(2018年度)の実績で約2,262千トンとなっており、これは産業廃棄物全体の0.6%の割合で、排出量としては低い数値です。しかし再生利用率は22%となっており、産業廃棄物の中では2番目に低い数値となっています。

廃アルカリの種類

前項でも述べた通り、廃アルカリはそのpHや含有物により、通常より取り扱いに注意しなければなりません。廃アルカリの分類については、廃棄物処理法や廃棄物処理法施行令によって規定されています。

廃アルカリのうちpHが12.5以上の物は特別管理産業廃棄物に分類され、廃アルカリのうち、PCB、重金属等、有機塩素化合物等、1,4-ジオキサン、農薬等、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むものは特定有害産業廃棄物に分類されます。

廃アルカリの特徴

pHの高い廃液は、下水処理においては微生物の活動を阻害し、pH12以上の廃液になるとコンクリートを損壊し、石灰分を多く含むときには管内に沈降付着して管閉塞の原因となります。

廃アルカリの具体例

廃アルカリの具体例

廃アルカリの代表例は水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)で、紙パルプやレーヨン(化学繊維の一種)、石鹸などの製造工場等で発生します。廃アルカリは他にも清掃工場やコークス炉、化学工場などで排出されます。廃アルカリには以下のようなものがあります。

名称
説明
水酸化ナトリウム水溶液
苛性ソーダ溶液とも呼ばれ、固形石鹸や台所用の油落とし用の洗剤等の製造に使用されるほか、製紙業や繊維業などの工業用途でも使用されます。
アンモニア廃液液安とも呼ばれ、ナイロンやアクリル繊維の原料となるアクリロニトリル等をつくる際に使用されます。
写真現像廃液写真・映画の現像工程で、フィルムや印画紙などの感光材料を現像するために使用される薬液のことです。
イオン交換膜排水金属などの表面処理工程(金属表面の油やゴミを取り除く工程)において、使用された水のことを指します。
廃灰汁藁灰(わらばい)や木灰(きばい)を水に浸した上で上澄みをすくった液のことで、炭酸カリウムが主成分です。石鹸の原料、洗剤、漂白剤などの原料となります。
アルカリ性めっき廃液湿式めっき法(金属の溶け込んだ溶液中に金属を入れめっきする方法)で使用するイオン化した金属が溶け込んだ溶液のことを指します。
染色廃液細胞の核を染めて観察しやすくするために用いる酢酸カーミン液や酢酸オルセイン液の使用した後の廃液のことです。
硫化ソーダ廃液硫化ソーダは硫化ナトリウムとも呼ばれ、非常に強い腐卵臭と腐食性、吸湿性が特徴的です。硫化染料の製造や染色用、ニトロ化合物の還元、脱毛剤等に使用されます。
黒液木材から木質繊維を取り出す過程で排出される黒色の液体のことです。木材パルプ廃液とも呼ばれます。

その他にも、洗びん用廃アルカリや石炭廃液、金属せっけん廃液、ドロマイト廃液なども廃アルカリになります。

廃アルカリの処分方法

廃アルカリの処分方法

廃アルカリは液体のため、そのまま埋め立て処分されることはありません。そのため処分の方法としては大きく分けて①焼却、②中和処理、③再資源化の3つとなります。処理方法や処分場によって異なりますが、処分にかかる費用はおおよそ1kgあたり30~100円となります。

①焼却

廃アルカリの処分方法の中で、よく使われている方法の1つです。焼却の場合、液体のまま焼却炉に入れてしまうと燃焼しにくいため、霧状に噴霧して焼却します。

②中和処理

この場合の中和とは、アルカリ性の液体に反対の性質を持つ酸性の液体を入れ、お互いの特性を相殺させ中性に近づけることを言います。中和処理では、廃アルカリと廃酸を混ぜることで、中性に近づけ、処理後は焼却または排水処理されます。

中和処理によって新たに沈殿物(無機物など)が発生することになりますが、これは汚泥として扱わなければなりません。また、有毒ガスが発生する可能性があるため、作業の際には細心の注意が必要です。さらに、廃酸のみでは中性に近づけるのが難しい場合には、別の酸を用意しなければならないこともあります。

③再資源化

廃酸の処理の際に中和剤として使用したり、不純物を取り除いて再度利用可能にしたりすることで、再資源化を行います。その他、沈殿物から金属を回収して再資源化を行うこともあります。

まとめ

今回は、廃アルカリについて紹介しました。廃アルカリは法律で定められている産業廃棄物であり、人体にとって有害な物がほとんどです。水酸化ナトリウム等は、洗剤などに使用されているため見聞きしたことがある人も多いと思います。取り扱いには相応の注意が必要ですので、正しい取り扱いを心がけてください。

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