事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について
産業廃棄物が運搬される保管場所には、看板を出さなければならないと法律で定められています。
ただ看板を出せばいいというわけではなく、出し方にも決まりがあるのをご存じでしょうか?
本記事では、産業廃棄物の保管場所に看板を出さなければいけない理由や看板に記載する内容、サイズ、設置場所などについて見ていきましょう。
産業廃棄物を運搬・保管する際、廃棄物処理法の施行規則第8条によって関連情報の表示が義務づけられています。
特別管理産業廃棄物の保管場所がある場合も含まれ、関連情報を記載した看板を見やすいところに設置しなければなりません。
誰に見やすいかは、産業廃棄物の保管場所に近づく可能性がある人すべてに対してです。保管場所の周囲に住んでいたり働いていたりする人だけでなく、近くを通りがかる人に対してもわかりやすいように表示しておく看板だという認識はしておいたほうがよいでしょう。
産廃物の表示義務は、主に5種類に分かれています。ただし1種類は、表示推奨です。表示が義務づけられているのは、車両を用いて運搬する場合、船舶を用いて運搬する場合、最終処分場、産業廃棄物の保管場所の4種類。表示が推奨されているのは、医療機関から排出される産廃物の収納容器です。
産業廃棄物の保管場所に設置する看板には、記載内容やサイズが決まっていると共に見やすい場所に設置しなければならない決まりもあります。
なぜ記載内容や看板の表示義務が決められているのかといえば、産業廃棄物を保管するにあたって生活環境保全上のトラブルを起こさないためです。
産業廃棄物を保管するには、保管基準を守る必要があります。廃棄物の保管基準とは、保管場所の周囲に囲いを設置したり、害虫の発生や産業廃棄物の飛散・流出を防ぐ施設・設備にしなければならないことなどです。
保管に関する表示についても、保管基準の1つに含まれています。
看板に記載する内容・大きさ・設置場所についても、具体的に紹介します。
看板に記載する内容は?
産業廃棄物の保管場所に設置する看板に記載する内容は、5項目あります。
1つめの項目は、産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)の保管施設であることです。
看板の最上部に表示することで、看板を見たときにまず産業廃棄物の保管場所だと示していることがわかります。
2つめの項目は、産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)の種類についてです。
保管する産業廃棄物のすべての種類について、記載する必要があります。主な保管物の記載だけでは条件を満たさないため、注意しておきましょう。保管物に石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等が含まれている場合も必ず記載が必要です。
3つめの項目は数量についてですが、記載が求められているのは積み替えや処分のための保管の場合です。
積み替えや処分のための保管でなければ、数量の記載は必要ありません。
4つめの項目は、管理者の氏名あるいは名称と連絡先です。
連絡先は、会社であれば会社名と担当部署を記載。個人事業主であれば、個人名を記しておけば問題ありません。ただし、万が一トラブルが発生した場合に備えて、連絡がとれる電話番号などを記しておくのがおすすめです。
5つめの項目は、産業廃棄物の最大保管高さです。
必要ない場合もありますが、屋外で容器を使わずに産業廃棄物を保管する場合は必ず記載が必要です。
看板の大きさは?
表示する看板の大きさは、縦60cm以上、横60cm以上と決められています。
文字のサイズまでは決められていませんが、看板サイズが一定以上と決められていることから、離れた場所から見てもわかりやすい表示であることが条件だと解釈したほうがよいでしょう。
記載内容が守られているかどうかはもちろんですが、看板サイズについても条件が守られていないと無効とされてしまう可能性があります。せっかく看板を表示しても、表示していないものとみなされて自治体などから指導の対象にされてしまうリスクがあるのです。決められた条件は、細部まできちんと守っておき、トラブルを未然に防ぐように十分な配慮が必要となります。
看板の設置場所は?
1か月程度保管される場所、また廃棄物の量として10立方メートル以上保管するような場所には看板の設置が必要です。
看板の設置場所として望ましいのは、産業廃棄物の保管場所であると記載してあることがわかりやすい場所です。
保管してある物が産業廃棄物かどうかは、表示しない限り管理している人にしかわかりません。知らずに近づいて危険な目に遭う人が出ないよう、見やすい位置に表示することも重要です。
万が一のトラブル発生時には、看板が見やすい場所に表示されていたかどうかも問題視されてしまうリスクがあります。あらかじめ気を付けておけることは、注意しておくのがリスク低減の秘訣です。
産業廃棄物の保管にあたっては、運搬においても保管においても法律で定められたルールに従う必要があります。
決まりを守ることで法律に従った産業廃棄物の運搬・保管・処理などができていることになるわけですが、もっと重要なのは法律で定められた基準を守ることで安全が向上する点です。
産業廃棄物の保管には、多数の決まりがあります。保管場所の周囲に囲いを設置しなければならないのも決まりの1つですし、悪臭を防いだり産業廃棄物が保管場所から流出しないように設備を整えるのも決まりの1つです。屋外で保管する場合にも、土地の勾配の割合などが決められています。
こうした細かい決まりを守ることで保管上の安全を守るのですから、基準を守って保管している場所であることもきちんと基準に沿って表示をすることが重要です。
トラブルを起こさないように、万全に注意を払って対処している産業廃棄物の保管。
運搬・処理も含め、産業廃棄物の保管にあたっては、廃棄物処理法によって定められた保管基準を守り、安全に努めていることがわかります。
産業廃棄物は安全に保管することも重要ですが、産業廃棄物の保管場所であることを第三者に知らせる表示も大切です。
安全に配慮した保管をしなければならない廃棄物なだけに、保管場所であることを周囲に知らせる表示はわかりやすい記載でなければなりません。
廃棄物処理業者のみならず、産業廃棄物を保管しておく必要のある事業者の方は、どのような産業廃棄物を誰が保管しているか、何かあったときの連絡先も含めて法律で決められた通りに表示をして安全を守るようにしましょう。
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