産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処分方法・基礎知識・処分の流れ解説
近年、日本政府は地球温暖化防止に向けてプラスチック削減やリサイクル推進を促す取り組みや法整備を進めています。
しかし、国内ではタバコなどのポイ捨てや事業者による産業廃棄物の不法投棄が社会問題になっています。
不法投棄がされる背景にはどんな問題があるのでしょうか。
不法投棄を防ぐための対策や原状回復に向けた取り組みなどについて詳しく解説します。
不法投棄とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)が定める処分場以外の場所に廃棄物を投棄することを指します。保管方法や中間処理施設・処分場への搬入方法を誤った場合は、不法投棄ではなく「不適正保管」と呼びます。
廃棄されるごみは、多岐にわたりますが、特に廃プラスチックやがれき類、建設混合廃棄物などが多いです。
不法投棄は犯罪であり、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
産業廃棄物の不法投棄、罰則や罰金は?法律で定められた規制と実例を紹介!
産業廃棄物を不法投棄すると、有害物質が漏れて土壌や河川に影響を与えることもあります。
土地や建物を所有または管理している場合も、不法投棄の影響を受ける可能性があります。フェンスや看板を設置するなど、不法投棄を防止するための対策を講じましょう。
不法投棄の件数は、ピークだった1998年上半期に比べると大幅に減少しています。しかし、2021年には107件、合計3万7000トンの悪質な不法投棄が摘発されており、衰えることなく続いているのが現状です。
新たに判明した不法投棄事件のうち、件数が最も多いのが排出事業者からの投棄で45件(全体の42%)です。また、投棄量の最多は許可事業で1万5千トン(全体の41%)です。
「豊島事件」は、国内最大級の不法投棄事件といわれています。香川県小豆郡土庄町にある豊島(てしま)に大量の産業廃棄物が投棄され、地下水や土壌が汚染されました。
1978年以降、豊島観光が虚偽の記載で事業許可を取り、不法投棄をしたのが始まりです。大量の廃棄物を島内に持ち込み、野焼きなどを行って不正な処分を行いました。
その結果、島内に住む住民の喘息被害や土壌汚染につながってしまいます。豊島観光は1991年に有罪判決となりました。香川県も本件を謝罪し、廃棄物の処理を行うことになりました。
香川県では、2019年までに産業廃棄物および汚染土の搬出を行い、560億円以上の費用をかけて処分を行ってきました。
2023年までに地下水の浄化が完了する予定ですが、環境基準値以下に数値を戻すことや跡地の浄化などまだまだ課題は残されています。
国や自治体は、不法投棄をなくすためにさまざまな取り組みを行っています。ここでは、取り組みの内容や原状回復支援について紹介します。
産業廃棄物不適正処理防止広域連絡協議会、通称「産廃スクラム」は、東京都をはじめ37の自治体が連携してできた団体です。
不法投棄事案の合同調査や不正処理対策を行っています。解体工事現場や路上の調査、スカイパトロールなど監視活動に力を入れているのが特徴です。
1998年6月17日以降に発生した不法投棄による原状回復は、産業廃棄物不法投棄等原状回復措置推進費補助金により行なわれています。
不法投棄されている廃棄物を除去する場合は、都道府県が行政代執行を行うケースが多いです。その費用の一部を国が補助しています。
産業廃棄物の不法投棄を見つけた場合は、都道府県又は政令市の保健所や市町村区の産業廃棄物対策課などに連絡してください。
不法投棄をされた場合は、警察に被害届を出しましょう。不法投棄や不正を行っている業者に対してどのような対応ができるか、などは自治体の担当窓口に相談してください。
1. 不法投棄は何が問題?
廃棄物の不法投棄は環境汚染を引き起こし、住民の健康や生活にさまざまな影響を与えます。不法投棄された廃棄物に重金属や有機塩素化合物などの有害物質が含まれている場合、雨によって有害物質が流され、水源や土壌を汚染します。
2. なぜ粗大ゴミが不法投棄されるのでしょうか?
粗大ゴミを処分する場合は、個人であっても事業者であっても処理費用が発生します。事業者の場合は、契約手続きやマニフェストの管理が必要になります。このような手間や負担を軽減するために、不法投棄することを選択する人もいるのが現状です。
産業廃棄物の不法投棄は、環境や人々の健康に大きな被害をもたらす犯罪行為です。不法投棄を防ぐためには、国や自治体の監視活動の強化や、産廃業者への指導強化などの取り組みを継続する必要があります。
また、個人や企業も廃棄物の適切な処理を理解することが重要です。
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